作品紹介のページ

ヨシダ人形劇の作品を詳しく紹介するページです。

ヨシダ人形劇 現在上演中の作品

現在上演中の作品は、「はむにょ!」「カッパのぬけがら」の2本立てです。
2本立てでひとつの公演となりますので、どちらか一方での上演は対応しておりません。

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はむにょ!
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カッパのぬけがら

はむにょ!

ひとつ目のお話は、「食べる」をテーマにした、言葉のない人形劇。
食べて食べて食べまくる姿に、いつしかみんな大興奮!痛快グルメ(?)人形劇です。
「食べる」って、気持ちいい!
    ◆ 作・演出・美術・・・吉田 貴志
    ◆ 音響・・・本田 真輔(人形劇団京芸)
    (約13分)

ご来店

ここはとあるレストラン。ヒゲのウェイターさんが開店準備。
そこに現れたのは、ちょっとかわったお客さま。
どうやらいい匂いに誘われて来たようですが・・・。

熱々スープ
ご注文のメニュー、まずは熱々スープ。
熱いのが苦手なお客さまには、フーフーしてさしあげます。

そして、おいしくいただきます・・・
     「はむにょ!」

パンとサラダ


お次はパンとサラダです。
かたいパンもなんのその、がぶりもぐもぐと食べちゃいます。

ごちそうさま!

とにかく食べる、モリモリ食べる!
あっというまに完食です!


お次はみんな大好きスパゲティー!
口を大きく開けて・・・。

パスタ

お肉
ご注文の品はまだまだたくさん!
どんどん食べていきますよ~。

いろんなメニュー、いろんな味、いろんな食べ方・・・。
そして、お腹いっぱいになったお客さまは・・・?
あとは観てのお楽しみ!


全編を通して、ただただ人形が食べ物を食べていきます。 単純な繰り返しですが、だからこそ次は何を、どうやって?と、どんどんお話は加速していきます。
熱い、やわらかい、かたい、食べにくい、そしてもちろん、・・・おいしい!
いろんな「はむにょ!」を人形と一緒に、お腹いっぱい味わいましょう。

『はむにょ!』制作ノート

『はむにょ!』は、ヨシダ人形劇の第一作、完全オリジナル作品です。
幼児を主な対象にした作品づくりといっても、1歳児から5歳児までとなると経験も感覚もまるで違います。 それぞれの年齢なりに、それぞれの楽しみ方ができるような間口の広い題材を(まあ、無理な話なのですが) 考えたとき、「食べる」というテーマが浮かびました。乳児から老人まで、人間である限り「食べる」ことはわかるはず。
そしてもうひとつ、私たちがいわゆるパクパク人形(口が開く人形)をつくるとき、口ができたら必ず何か食べさせて遊ぶのです。 そして、それはやたらめっぽう面白いのです(たぶんすべての人形をつくる人がやっているはずだと、思うのですが・・・)。
そんなところから生まれたのが、このお話です。マジメに『食育』について考えたわけでは、残念ながらないのですが (というか、むしろ行儀は悪い方かも)、「食べる」ときのいろいろな口内の感触や味わいや苦労を人形で表現できたら、 そしてそれをお客さんと共有できたら面白いだろうなぁ、と考えました。 そしてなにより、「食べるって気持ちいい!」と感じてもらえたらいいなぁ、そんなことを考えながら創りました。
お客さんがよだれを垂らしながら足を踏みならすような、そんな公演ができることを夢みております。

カッパのぬけがら


ふたつ目のお話は、ひとりの少年とちょっと風変わりなカッパとの出会いを描く、ちょっと長めの物語です。
   ◆ 原作・・・なかがわ ちひろ(理論社刊)
   ◆ 演出・音楽・・・本田 真輔(人形劇団京芸)
   ◆ 脚色・美術・・・吉田 貴志
   (約38分)

釣りきちゲンタ

これは、ある夏のお話。

ゲンタ少年は、ひとりで川に釣りにやってきました。
ねらいは川の主、大王ナマズ。

アタリ有り!
「おっ!きたきた!」
突然、強い力で竿が引っ張られます。
逃がすまいとしっかり竿を引くゲンタ。
けれどもとうとう、竿ごと川に引きずり込まれて・・・。

カッパ登場!
「あれ?ここはどこ?」
「ほほ~う、お目覚めのようだなぁ」
見知らぬところで目が覚めたゲンタが出会ったのは・・・!

「カッパを見るのは、
      はじめてかい?」

ぬけがら自慢
「ぼ・・・僕をどうするつもり?」
驚くゲンタに構わず、カッパは勝手に話します。
「おまえは、カッパの家来になるんだっ!」
「ケライって、どういうこと?」

カッパが取り出したのは、百年に一度の脱皮でできた、カッパのぬけがら!

お着替え
「こいつを着れば、お前もカッパになれるんだ」
そう、カッパが取り出したのは、だれでもカッパになれる不思議なぬけがら。

「わかった、着てみるよ。
・・・ちょっと、面白そうだし」
ゲンタはぬけがらを着てみることにしました。

まずは足を入れて・・・

次に腕を入れて・・・

今度はアタマを入れて・・・

そして、最後に背中を縫いあわせると・・・

じゃ~ん、見事、カッパに大変身!
「う~ん、なんかヘンな感じ・・・」

カッパイ!
「いやっほう!今夜はお前の歓迎会だ!」
仲間ができて、カッパは大喜び。
「どうだ?カッパになれて、うれしいか?」

カッパとゲンタの、不思議なカッパ生活が始まります。

水練その1

「オレさまがカッパの泳ぎってヤツを見せてやるよ!」
泳ぎの苦手なゲンタに、カッパ流の泳ぎを大特訓。

水練その2

「すご~い、僕、ほんとに泳いでる!」
ぬけがらの力で、ゲンタもすいすい泳げるように。
「いやっほ~う!
    カッパ、さいこ~う!」

キュウリ泥棒
泳いだあとは、腹ごしらえ。
メニューはもちろん、カッパの大好物、きゅうり!
「こんなおいしいきゅうり、はじめて!」
「へへっ、おまえの舌も、ちょっとカッパになってるってことさ!
遠慮はいらねえ、どんどん食いな!」

はっけよい!
お腹いっぱい食べた後は、腹ごなし。
「おまえもカッパになったからには、相撲のひとつくらいは取れなきゃな」
「相撲くらい、僕だってできるよ」
「・・・カッパの相撲はひと味違うぜ!」

大相撲川原場所、はじまりはじまり!

横綱相撲
「うわ~~~っ!」
何度やっても、カッパに投げ飛ばされるゲンタ。
「つ・・・強い!」
カッパの相撲道はきびしいのです。

川下りその1

今日は、カッパとふたりで川下り。
「今宵は満月!今日は一年に一回、川の始まりから終わりまで、ぶっ飛ばすんだ!」
「しゅっぱ~つ!」

川下りその2

右へ左へ、ふたりで川を大暴れ!
「やっほ~う、気持ちい~い!」
「おっ、そろそろ終点だ!」
「終点って?」
「ほら、川の匂いが変わってきただろ?」

夕陽とカッパ
到着したのは、大きな海。
「カッパの国は、ここまでなんだね」

ゆっくりと沈む夕陽をながめるふたり。
「ず~っとこのまま、カッパでいるのも悪くないかも・・・」

また来年の夏に


そして、秋がやってきて、ふたりの
カッパ生活にも、別れの時が訪れます。

そして次の夏


次の夏       。
ひとまわり大きくなったゲンタが、またカッパの住む川にやってきて・・・。


           100years later?

『カッパのぬけがら』制作ノート

『カッパのぬけがら』は、なかがわちひろさんの原作(理論社刊)をお借りして、人形劇として脚色したお話です。
作品のラインナップとして、ひとつは必ずドラマ性のある物語を入れたいと思い、この作品を選びました。 ドラマといってもそんなに大きな紆余曲折や対立があるわけではありませんが、このお話には知らない者同士・まったく違う者同士が出会う面白さがあります。
自分とは違う存在に出会って、驚いたり、感心したり、呆れたり。距離がつかめなかったり、縮まったり、離れたり。 お互いの気持ちがいろんな色合いで、いろんな振れ幅で動いていく。そして、お互いの存在がなんとなく心地よいものになっていく。 よくある出会いと別れの物語ですが、そんな真っ正直なお話を、少し恥ずかしがりながらも堂々とやってみたいと思いました。
もうひとつ、子どもの観客に向かう者として、今自分が子どもたちに出会わせたい人物像とはなんだろう、ということをいつも考えます。 自分の場合、それは「ヘンな大人」ということになります。ワガママだったり、フマジメだったり、思慮が浅かったり。 決して立派な大人とは言えない、でも、どこかにしっかりコダワリや踏ん張りどころがあって、それがなにかはわからないけど、そのことを楽しんでいる。 そんな「カッコいい」大人を、子どもたちと地続きの存在として描けたら、そして願わくば、大人になるのが楽しみになってくれれば。 そんな思いを込めて、カッパとゲンタの出会いの物語をつくりました。